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2008年07月01日

■BAJA CHICKEN 第30羽 「05/31 チキンたちの一番長い日(1)」

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前回はコチラ。かなり無理やり気味に引っ張りまくってきたBAJA CHICKENもようやくレースデー当日!(あとちょっとなのでもうしばらくお付合いください) アッという間に過ぎ去った一週間にも様々なドラマと失敗と笑いがあった。転がり落ちるようにスタートラインまでたどり着いたBAJA CHICKENたちの最も長い一日がいま幕を開ける……!

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■AM6:30 レーススタート。

朝4時過ぎに起床。ベッドから起き出してそのままシャワーを浴びる。前の晩に床に並べておいたウエア&装備をぶつぶつと確認しながら順番に身に着けていく。ウエアを着たあたりで表に出ると、コッツがサトウの切り餅とゆで卵を渡してくれた。ウメー。ちなみにこのお餅・ゆで卵の組み合わせは石井サチョーの真似。こういうのは先達の知恵を丸パクするのが一番なのだ(実際腹持ちが良く、お腹減ったと思うことはなかった)。外は思っていたよりも暖かくて(1000と違って5月開催だからね)、スタート時はジャケットいらないな、と判断。準備を整えてバイクのところへ行くと、セヌーさんがIRCのGPSにバッテリーからのラインを接続しているところだった。これで今からイリトラック上でも信号が確認できるはずだ。エンジンを暖気している間にセヌーさんとコッツに「じゃあ、あとでね!」と声をかける。チェイスカーは(スタートを見ないで)交替ポイントへ先行するためここでお別れだ。

DSC_7804.jpg▲続々出発するスタートライダー(撮影:ムラカミさん)。

準備万端の第1ライダー唐沢さん&ナカムラさんに続いてホテルを出発し、スタート地点のエンセナダコンベンションセンターを目指す。バイクに乗るのはプレラン初日以来なので、街中で立ったり座ったり体のポジションを確認する。本当に折れてんのかいな……と思うくらい腕は平気だったが、舗装路で何の判断をしても意味はない。スタート地点に到着すると、すでにたくさんのバイクとATVが集結していた。4輪は2時間後スタートなのでまだ姿は見せていない。スタート順がずっと先の唐沢さんが列の前の方へとバイクを走らせていく。「257x、257x……ここだここだ」。白線で仕切られたウエイティングスペースにバイクを入れると、前の方に同じSPORTSMAN OVER250に出場する251xジョニ男の姿が見えた。

「やー」

歩いていって声をかけるとジョニ男は落ち着いた様子でスタートを待っていた。初めて会ったオーホスネグロスでの不安げな表情はまったく見られない。2日間のプリランで男っぷりがあがったかな。九州から単身やってきた24歳の若者のドラマを、カメラを持って追いかけたい衝動にかられるw。だが、今日は俺もまたライダーだ。「お互い頑張ろう」と握手を交わす。そのまま列の先頭の方まで歩いてゆき、トップクラスのライダーたちの様子を見物してからバイクのある場所へ。するとそこにセヌーさんとコッツの姿があった。意外と時間に余裕がありそうだったので見にきたのだ。改めて最初の交替ポイントを確認したり、写真を撮ったりした後、チェイスカーに乗って去っていった。今度こそ本当にひとりだ。「グッドラック!」「ユートゥー!」自分の前後のライダーたちとお互いの健闘を祈って握手する。ひとつ後ろ、258xのKTMライダーはすでにナイトラン用のライトと、ラリーレイドにでも出るのかというくらいデカいタンクを装着していた。サポートなしのソロなのか? とにかくいろんなヤツがいる。

startnakamura.jpg▲いつでも飄々(ひょうひょう)としているナカムラさん。
starthopper.jpg▲この時何を考えていたのかまったく覚えてない。

列の前の方が慌しくなってきた。ついにスタート進行が始まったのだ。急に心拍数が上がってくる。俺は直前までなんでもないような顔をしておいて、5分前から度し難いほど緊張するタイプだ。落ち着け落ち着け。ヘルメットカメラの電源を入れ録画を開始し、カメラ本体をバックパックに戻してからエンジンを始動するまでの流れを何度も頭の中で反復する。その間にも列は進み、バイクに続き速いATVがスタートしていく。俺たちはさらにそのあとだ。バイクを押して列を進んでいくと、スタートゲートの脇にビデオカメラを構えたウメムラさんの姿が見えた。ここで立ちノース(立ちゴケのこと)したらオイシイだろうな……。ジョニ男がお立ち台に上がるのが見えた。いよいよだ。カメラの電源を入れ、バイクに火を入れる。


▲YouTubeにアップされたBAJA500の映像。始まってすぐ0:06あたりにスタート待ちをしている俺の姿が!(←スゲー嬉しい)

BAJAのオーガナイザーにして忠実な世話人、サル・フィッシュがやってきて「安全に楽しんで! またここで会おう!」と声をかける。握手したかったがバランス崩して本当に立ちノースしかねないのでサムアップでこたえた。順番が近づいていくにつれ、自分の体が膨らんでいっているような錯覚を感じる。きっと心臓バクバクだったのだろう。「あ~心の準備が~」。お立ち台にあがると、すぐに目の前でスタートマーシャルがカウントダウンを始める。36年間の人生の中で過去最高に輝ける瞬間、本人の頭の中は真っ白だった。5・4・3・2・1……GO! フラッグが振られると同時に落ち着きが戻った。俺は感触を確かめるようにシフトペダルを踏みおろし、クラッチをつなぐとエンセナダの街中へと走り出した。

■最初の交替ポイントへ

「Dust to Glory」で何度も見たスタート直後の左90度コーナーを立ち上がる。バイクの調子はさいこうだ。どんどんシフトアップしていく。沿道から地元のメキやんたちが手を振っている。しばらく走ると、舗装路からダートに降ろされる。これまた有名なエンセナダ川の底を走るルートだ(数年に一度降る大雨の時などに実際に川となって機能するらしい)。観客の注目を浴びつつ川底ダートを走る。土質もグリップも分からないので無理はしない。橋をくぐるとRedBullゲートが見えた。ここは有名なジャンプスポットで、BAJAの映像には必ず出てくるところ(上の動画参照)。全開フル加速で飛び出していきたいところだが、ケツから跳ね上げられない程度にスロットルを戻す。「ぴょこん」……だって。だ、ダセー!!! そして恥ずかしいー!!! でも、俺にはもう無茶なカードを切る余裕はないのだ。こらえてつかぁさい。

rm0hopper.jpg▲名づけて「おふくろには見せられないジャンプ」。

川底はところどころガレているところもあって、そこではもう極端にスピードを落とす。ガレ場で転倒するのだけはネバーアゲインなのだ。それでも石がゴツゴツとヒットしたり、ハンドルが急に取られるような動きをすると左腕に鈍い痛みが走る。思ったよりも走れるけどやっぱり無理はできないようだ。俺がガレ場にビビってノロノロやってると258xがズバーッと抜き去って行った。ちょww、空気嫁。まぁここで抜かれる俺も俺だけど。そのあとはしばらく258xをペース&ラインメーカーにして走る(引き離されちゃったけど)。川底ダートが終わると再び舗装路にあげられた。結構なペースでいくつもの交差点をまっすぐ抜けていくのだが、なんか横から車が出てきそうでおっかない。実際、道路封鎖してるわけじゃないから地元のメキ車がふらりと出てきて事故になることもあるそうだ。俺はとてもじゃないけどあそこを全開で走れる気はしないなー。

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直線の最後に右の90度コーナーが見えてきたのでいくつかシフトダウンして減速する。コーナーには観戦客がいて、なんだかフラフラしている俺に「あっちだあっちだ」とコースの先を指している。それでもおかまいなしに減速し、キョロキョロしながらコーナーを回るとお目当てのものを見つけた。「あー、いたいた」。コーナーの出口アウト側に見つけたのは、ヘルメットをかぶって道端に待機するセヌーさんとカメラを構えるコッツの姿だった。

■社長待遇

「ハァ!? もう!!??」ともの凄い数のツッコミが入りそうなので説明しておこう。腕を骨折し戦力として期待できなくなった俺のためにチームが採用したのがこの「ホッパーシフト」。簡単に言うと、俺はフラットなところばかり40マイルくらい走って、残りの400マイルはセヌーさんヨロ! っていう超素敵な作戦だ。このスタートのみ担当して最初の角を曲がると若い衆が待ち構えていてハイ交替、ってのはお金持ちのチームオーナーがよくやる手なんだそうだ。俺、社長待遇w。具体的に言うと俺とセヌーさんの分担は以下の通り。

baja500hoppershift.jpg

ヤバい、改めてマップに起こしてみると面白すぎる。俺、少なッ! これで完走してフィニッシャーバッヂとかもらって本当にいいんだろうか。フェアな分担にはとても見えないけど、あくまでも目標はBAJA CHICKENの完走だ。そのためだったらどんな作戦だってアリなのだ。バイクを降りるとさっそくセヌーさんが「どうだった?」と聞いてきた。「結構大丈夫そうです」と答えると「……そうか」と言ってWRにまたがり、次の交替ポイントであるRM80に向かって走って行った。(つづく

barpad.jpg▲コッツがバーパッドに貼り付けたガムテの指示書。「替 1」の文字が輝く。
rm1senoo.jpg▲このあと衝撃の展開がセヌーさんを襲う!?